小さな誘惑
猫が寝ているだけの動画を見る人も多いだろう。
目を細めて、あるいは腹を差し出して寝ている姿は人を魅了する。
例外ではなく、彼が寝ている姿も愛らしい。
ドテッとクッションに身を任せて、手を放り出している姿はたまらないものだ。
無防備な姿は可愛くて可愛くて、ついつい触りたくなってしまう。
今も文章を書いている横で、ベッドの淵のふわふわに顔を埋めている姿は私を誘惑している。
誘惑に負け、幸福の為に小さなおでこに手を伸ばす。
サリッと額に触れた時、彼は身を震わせて目を開けた。
明らかに寝ぼけた目に見つめられた私は罪悪感にかられた。
自分よがりな幸福の為に彼を起こしてしまった。
私が反省をしているとジトっとした視線が…
「ごめんね」
素直に謝ると彼はフンッと鼻を鳴らして大きなあくびを一つ。
そして、また眠りの国へ旅立っていった。
その姿は愛らしく、今もまた私を誘惑し続けている