一緒に暮らして一年が過ぎた
書いている私は36歳のいわゆるアラフォーの女だ。
仕事はサービス業で日々を過ごしている。
結婚していて、単身赴任の旦那が一人。
子供はいろいろな理由で出来なかった。
中古の一軒家を二年前に購入して、なんとなくの一人暮らしを満喫していた私は昨年から同居猫を迎えて二人暮らしをスタートさせた。
同居している彼はたぶん6歳になる元保護猫の雑種、キジトラくん。
どこにでもいる一番オーソドックスな猫らしい猫。
体は長く、体重は重い、存在感のある出立をしている。
我が家ではてっちゃんと名付けた。
家に来る前の旧姓は放出。
彼は愛護センターで貰い手がなく、私の街の保護猫コミュニティにやってきた。
だから年齢も過去も何もわからない。
たぶん、こうだろうと言われた事しかわからない。
ミステリアスな男なのだ。
そんな彼と暮らして、一年が過ぎた。
36歳の女と約6歳の猫。
くだらないながらも日々を過ごし、彼といる毎日は幸せの連続だ。
しかし、彼は猫。
生き物として寿命を考えた時、きっと私より先に死んでしまうのだろう。
彼と残された日々は彼が平均より生きてくれても、あと何十回と記念日を重ねられるわけではないのだ。
だから、気が早いけども彼と過ごす日々を文字に残す事にした。
たくさんの猫を飼った方の体験に触れた時に、後悔したくないと思ったのだ。
だから、早く、出来るだけ早く準備をする事にした。
彼の可愛さ、優しさ、頭の良さ。
文章にして、形にして、焼き付けていこうと思う。
私が先に死んでしまう事もあるから、どちらにせよ後悔にならなくてもよい。
とにかく、始める事だ。
今も目の前でご飯を催促して鳴いている姿は、すっかり我が家に馴染んでいる。
そんな何気ない姿も愛しく、凛々しいのだ。
今も不満げにピザの広告の紙を噛みちぎってしまった。
私は携帯をテーブルに置いて、ご飯まで彼の気を紛らわせにいくのだ。